ムリのない王道ダイエット
「ダイエット」
それを実現するため、日夜過酷なトレーニングや体をイジメるような食事をされている方をしばしば耳にしますが、そんなしんどいことをする前にもっと基本的なことを見直してみませんか?
「ダイエット」とは、健康的な体型になるための食事療法、または食事そのものをさす言葉です。すなわち食事を見直して正せば自然と健康的な体は手に入れられるのです。
そもそも欧米化される以前の日本人に肥満はほとんど存在せず、ごく一部の裕福な家だけに許される体型でした。現在でも、アフリカや東南アジアの新興国では肥満は裕福な証とされています。つまり、食生活が質素なものであれば太ろうとしても太ることはできないのです。とはいっても、甘味であふれるこの時代、甘味を避けるなんてことは困難を極めます。私自身、砂糖をふんだんに使った洋菓子を作り、食する程度には甘いものが大好きです。いまさらお菓子のない生活なんて送れようはずもありません。ですので、ここで紹介するダイエット方法は、良く目にする「たった一週間で-〇〇kg!!」なんて目に見えてすぐに効果を発揮するもではありません。非常に地味です!ですが、だからこそ体の根幹から整えることができるもなのだと思っております。
Ⅰ.噛む噛むダイエット
書いた言葉のとおりよく噛んで食べましょう、というものです。ファーストフードを食べに行くと、短時間でたくさんの量を食べられる。でも和食のコース料理(割烹)となると長時間かけているのに途中、ないし最後はそんな大量に食べていないのに満腹で苦しい。なんてことを体験したことはありませんか?
人が満腹感を感じるには、食べ物を食べてはじめてから15分の時間を要します。これは、脳の満腹中枢に十分な刺激が行くまでに時間がかかるからです。とはいっても、だらだらと食べていればよいというのではありません。
しっかりと噛む食事をする必要があります。噛むことでセロトニンというホルモンが放出され満腹中枢を刺激し満腹感を得ることができるのです。ただ、このセロトニンは、必須アミノ酸・ナイアシン・ビタミンB6・ビタミンB9・鉄といった食物から取り込まなければ、体内で生成することのできない物質なのです。ですので、日ごろから残念な食生活を送っていると、いくら噛んで食事をしても、そもそもの原料がないのでセロトニンが全然放出されず、満腹感を得ることができないなんてことになってしまいます。
また、よく噛んでいると満腹中枢に刺激が行き、内臓脂肪の分解が促進されることが研究でわかってきています。そのほか、よく噛むことは脳の刺激になり、集中力が高まったり、認知症の予防、小児においては適切なあごの発達につながり歯並びがよくなるなど、様々な利点があります。
よく噛むとはいってもいったい一口で何回くらい噛めばよいのでしょうか。一つの目安に30回という数値があります。さて、牛丼のチェーン店に行って一口に30回も噛んでいますか?ハンバーガーを30回もかけて噛んでいますか?私はかんでいません!あんなやわらかいものを30回も噛んで口に保っておくことは困難です。勝手に呑み込んでしまうほどサラサラ、ドロドロになっていることでしょう。残念ながら、人間は本能により、ある程度やわらかく甘い(味の濃い)ものの方がおいしいと感じるようにできてしまっています。子供は正直です。ごぼうの炒め物よりハンバーグが好きな子がほとんどでしょう。ハンバーグはやわらかく、噛まずとも味がしっかりしていますもの。対してごぼうは固く、しっかりと噛まなければ味もあまりしませんから。ですが、満腹中枢を刺激するにはしっかり噛む必要があるのです。ファーストフードでは噛めません!食事を少し見直して、しっかりと噛んで食べる必要のある食品を選び、食べのもを味わい、噛みしめるようにしましょう。
Ⅱ.自律神経ダイエット
自律神経とは、自分の意志とは無関係に体の内側で自律的に動く”神経ネットワーク”です。意識はしていなくても心臓は動き、寝ている間も勝手に呼吸をし、消化吸収を行います。これら意識外で体の調整を行っているものすべてが自律神経の働きによるものです。体や心の最も重要なこの神経ネットワークに不調が生じると、代謝機能が悪くなり、体調やダイエットに大きな支障をきたしてしまいます。
この自律神経には「これをするだけで乱れたリズムが治る!」なんて都合いい方法はありません。生活習慣を正すことが唯一の方法なのです。
【自律神経を乱す要因】 【自律神経を整える要因】
①不自然食品(加工食品) ①自然食品(無添加、天然)
②タバコ(副流煙) ②禁煙(副流煙も避ける)
③過度なストレス ③適度なストレスとリラックス
④運動不足 ④適度な運動
⑤便秘 ⑤食物繊維食(便秘改善)
自律神経に影響を与えるものをざっくり5つに分けています。②~⑤までは特説明の必要もなく「そうだどうな~」と思っていただけることでしょう。わかりにくいのが①の食品です。いったい何が不自然で、何が自然なのか?
不自然食品とは
自然にはあり得ない食品のことです。冷凍食品や、コンビニの食品がわかりやすい例です。ですが、実はそれだけではなくもっと身近なところで意識せずに食べているものも多くあります。それは化学薬品(食品添加物、残留農薬)であったり、トランス脂肪酸、精製された砂糖、精製された塩です。
ふだんからマヨネーズをかけて食べてい方は多いのではないでしょうか?では、マヨネーズの作り方を知っていますか?いたって単純です。卵黄、お酢、塩、そして油をひたすらに混ぜると簡単に作ることができます。さて、この自分で作ったマヨネーズを1か月後に食べる気になるでしょうか?私は食べれません!絶対に痛んでいると確信を持って言えますから。しかし、市販されているマヨネーズなら1か月後でも何一つ気にせずサラダにかけて食べていませんか?主成分は手作りのものとそう変わりはないのに、痛んでいる様子はありませんもの。…なぜでしょう。いったい何を加えれば生卵(卵黄)が1年以上も持つというのでしょうか。どれほど強力な化学薬品が添加されればそんなことができるのでしょうか。そんなものを摂取して人体が何の問題も生じないのでしょうか。
農業を行うにあたり農薬の使用は致し方ないものであり、農薬を使用した食品を食べることは避けて通れません。そこはあきらめましょう。ですが、栽培のためとはまったく別用途に使用されている農薬があります。収穫後、輸出入するあいだに腐らないようにするため振り掛けられる防腐剤の存在、ポストハーベストと呼ばれるものです。これは利益のためだけに使用されている農薬で、収穫後の食品に直接かけられているので、栽培時に使用する農薬よりはるかに高濃度の状態で私たちのもとに届きます。このような農薬は全く体には必要ありません。そしてこの農薬は輸入時に使われるのもですので、国産の食品を食べるように心がけていればそんなに問題になることはありません。地産地消の心がけです。
トランス脂肪酸とは人工的に作られた油で、マーガリンやショートニング、コーヒーフレッシュ、酸化した揚げ物に含まれることがあります。トランス脂肪酸は自然界に存在しない物質です。自然界に存在しない物質に対して、人体はそれを分解する酵素を持ち合わせていません。体内での処理がうまくいかず、毒物として作用したり、細胞膜やその他様々な場所に蓄積されるという本来ありえないことが起きてしまうようです。このため、結果的に血液が汚れ、免疫を下げ、老化を促進させ、アレルギー症状、歯周病、うつ病、認知症など様々な障害を生じる原因となります。ちなみに主にトランス脂肪酸から作られているマーガリンは『食べるプラスチック』と呼ばれており、アメリカでは国内で製造は許されているのに、自国内での販売は禁じられているそうです。
自宅に砂糖がないという方は少ないのではありませんか?その砂糖は何色ですか?多くの方が砂糖をイメージする砂糖の色は白色でしょう。ですが、その白色は、非常に人工的な手法によって生み出された色なのです。
白砂糖の原材料は主にサトウキビです。さて、では白砂糖の作り方ですが、
①原材料の圧搾(絞りだし)
②石灰・炭酸・亜硫酸を添加し、煮詰めて不純物を取り除く
③塩素・ホウ酸塩で脱色
④ビタミン・ミネラルを含んでいるとべたつきが出るので取り除く
⑤塩酸で漂白
いったい白砂糖とは… と考えさせられるのは私だけでしょうか。きれいな白色を出すために漂白剤につけているんですね。逆に考えれば、色のついているキビ糖や黒砂糖は漂白されていないので、白砂糖より天然に近いものなので自律神経を整える、ダイエットのためにも良いことでしょう。
塩も同様に、より自然に近い、海から採取されたミネラルの多い天然塩(自然塩)が体に良いといえるでしょう。
Ⅲ.冷え取りダイエット
私たち哺乳類における深部体温は37.2℃といわれています。(わきの下:36.2~36.3℃)体の深部の温度が37.2℃の状態が、体内の酵素が一番活発に働き、免疫が活性する温度なのです。この温度が低いと、たまった脂肪がなかなか分解されず、どんどんたまり続けてしまいます。体温のもととなる熱エネルギーは、主に食事や運動による筋肉の運動から作られています。ですので、一般的に、腸を冷やす食べものが、『冷え』『冷え症』を作り出すといわれています。『冷え』を取り、体内の代謝を活発にし、余分な脂肪が燃焼されるような食事を心がけてみましょう。
【冷える食品】 【冷えを取る食品】
①加熱した食事 ①酵素食(レタス、キャベツ、大根、納豆、味噌etc…)
②部分食(白米、白パン) ②全体食(玄米、全粒粉のパン)
③加工食品(レトルト、インスタント) ③根菜食(ニンジン、大根etc…)
Ⅳ.血糖値ゆっくりダイエット
食品の炭水化物50gを摂取した際の血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖を100とした場合の相対値で表すGI値 (グリセミック指数)というものがあります。
このGI値が高い食品を摂取するほど、BMI指数が高くなり、反対にGI値が低い食物繊維が豊富なものほどBMI指数が低くなることが、女性を対象とした食品調査から報告があったのです。
GI値が高いものは、ブドウ糖のようにすぐに吸収されるため、食べたらすぐに血糖値が上がったしまいます。この血糖値の急激な上昇、そして吸収が完了すると急激な低下を示す、この血糖値の『ジェットコースター』が体に良くないのです。
ダイエット以外の面においても、GI値の低いもので食生活を組み立てた場合、糖尿病や心臓病のリスクが低くなることが報告されています。GI値の低いものを取ることがダイエット、そして生活習慣病の予防のためには必須なのです。
【GI値の高い食品】 【GI値の低い食品】
①白米:88 ①玄米:55
②うどん:85 ②そば:54
③食パン:95 ③全粒粉パン:50
④ジャガイモ:90 ④サツマイモ:55
⑤チョコレート:91 ⑤焼き海苔:15
いちいち何の食べもののGI値が低くて、何が高い!なんてことを覚えるのは非常に大変です。というか食品の数だけあるのでほぼ不可能でと思います。ですので、どういったものによりGI値が変わってくるのかを覚えておきましょう。
まず①~③を見てみましょう。左右の違いはなんでしょうか。そう、穀物を精製しているか、していないかの違いです。穀物の表面をはがして中身だけにすると、ほとんどは炭水化物の塊です。それは体にとって非常に吸収のしやすい糖の状態なのです。それに対し、表面の殻をつけた状態は多くの栄養素を含んでいますので、炭水化物を直接吸収することが少なくなるので、血糖値の急激な上昇が抑えられるようになります。ちなみに、穀物の栄養素のほとんどは「殻」に含まれています。ですので、玄米を白米に精製するという行為は、米から栄養を取り除き、糖の塊にしているものなのです。
④は同じイモなのに如実に差が出ています。これは食物繊維、そして糖の量による差で生じています。じゃがもは小学校の理科で習うようにでんぷんの塊です。すなわち糖の塊なのです。そこに食物繊維はほとんどなく、糖の吸収を阻害するものはほとんどありません。ですから摂取したジャガイモはすぐに血糖となって全身を駆け巡ります。対して、サツマイモは食するとおおならが出やすくなる、と言われるほど食物繊維が豊富で食物繊維が豊富に含まれていると糖の吸収が抑えられ、血糖値の変化は緩やかなものとなります。同糖の含まれているものなら、食物繊維も多く含まれているものを取るようにしましょう。
⑤は誰がみてもそう思いますよね。説明は割愛しても大丈夫でしょう。