知覚過敏症
知覚過敏症とは
「冷たい水を飲むと歯がキーンとしみる」
「歯ブラシを当てると痛む…」
このような「知覚過敏」に悩んではいませんか?
知覚過敏症とは、歯の表面のエナメル質が傷ついたり、歯茎が下がり根が露出する、歯が削れて内部の象牙質が露出しすることで、神経がちょっとした刺激に過敏に反応してしまう症状です。
虫歯との痛みの違い
知覚過敏症 | 刺激が無くなればすぐに痛みは消える |
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虫歯 | 刺激が無くなっても長時間痛みが続きやすい |
知覚過敏症と虫歯の痛み方にあまり違いはありません。
なので、ご自身で「これは知覚過敏症だから様子を見よ!」と判断されていると、どんどん痛みが強くなって歯科医院を受診したら実は虫歯でした,,,なんてこともよくあります。
基本的に痛みがあると言うことは、体が何らかの不調を訴えているサインですので、歯科医院で診断を受けた上でどうしていくかを検討しましょう。
知覚過敏症の原因
歯みがきの圧が強い
歯ブラシを歯茎に強く押し当てすぎていると、歯茎が下がってしまうことがあります。
また、歯を白くしたいからと強力な研磨剤が入ったハミガキ粉を使うことで、歯の表面が削れてしまっていることもあります。
歯ブラシだけで無く、歯と歯の間を磨くことは大切ですが、必要以上の大きいサイズの歯間ブラシを使っていると、これもまた歯茎が下がり、知覚過敏症の原因となります。
フロス(糸ようじ)であれば歯茎を下げる心配はほぼありません。
歯周病の進行
歯周病は歯を支えている骨と歯茎が下がる病気です。
歯茎が下がることで、歯の根が露出してしまい知覚過敏症が引き起こされます。
特に歯周外科治療を受けられた後は歯茎が下がるので一時的に知覚過敏症がほとんどの方に生じます。
酸蝕症
酸蝕症とは、歯が虫歯菌が出す以外の酸によって溶ける病気のことです。
お酢やワインと言った酸性の飲料を常飲している場合に起こります。
それ以外にも逆流性食道炎や、よく吐き戻してしまう方も口の中が酸性環境になるので注意が必要です。
加齢
歯は6歳頃に生えてから変わること無く、何十年と、熱いものや冷たいもの、硬いものを咬むために酷使され続けます。
どうしても細かいヒビが入ってきてしまいます。
多少のヒビでしたら誰にでもあるものなので問題を生じることは少ないのですが、そのヒビが進行してしまうと神経まで症状を引き起こすことがあります。
かみ合わせの異常
かみ合わせの異常には3つのタイプがあります。
- 食いしばり、歯ぎしり
- 歯並びが悪い
- 一部の歯が高い
食いしばり、歯ぎしり
食いしばりや歯ぎしりをしていると歯が欠けることがあります。
かけないまでも、ヒビが入ったり細かな傷を生じることがあり、そこから歯の内部まで刺激が行き知覚過敏を生じます。
また、歯の周囲には歯根膜と呼ばれる繊細な靱帯があります。
上下の歯と歯がカチッと咬んだ状態が日常的にあると、この歯根膜が痛み、知覚過敏を生じることがあります。
最近の日本人はスマホやパソコンを触る時間が長くなることで自然と下を向いている時間が長くなってきています。
下を向いていると自然と歯と歯が咬み合っている状態になりますので注意が必要です。
歯並びが悪い
上下の歯は力学的に正しく咬み合っている必要があります。
力の弱い方であれば多少かみ合わせが悪くとも、痛みを生じることはありません。
強く咬んだとき(特に寝ているときの無意識下)に歯並び全体に力を分散することができず、1カ所の歯だけに力がかることで歯根膜が痛み知覚過敏症を生じてしまいます。
一部の歯が高い
かぶせ物や詰め物の治療を受けた際に、歯科医師で行うかみ合わせの調整がうまくいっておらず、歯が高くなっていると歯根膜が痛み知覚過敏症を生じてしまいます。
過去に矯正治療を受けていて、保定がしっかりできておらず、歯並びが「後戻り」してくる際に一部の歯だけが当たる状況を生じ、歯根膜が痛み知覚過敏症を生じることもあります。
また、顎関節症により突然、前歯がかめ無くなることがあります。
この場合も奥歯数本にかむ力全てが集中してしまいますので、歯根膜が痛み知覚過敏症を生じることがあります。
治療方法~セルフケア編~
知覚過敏症は程度によっては自然治癒することがあります。
原因しっかり分かった上でセルフケアをするとより治りやすいので、まずは自分がなぜ知覚過敏になっているのかを考えましょう。
歯みがきの圧力を適正にしましょう。
一応歯みがきの正しい圧力は100~200gとされていますが、毎度力を測るのは現実的ではありませんので、歯を軽~く当てて磨くというイメージだけは持っておきましょう。
圧力がかからないようにする歯ブラシや、圧を検知する電動歯ブラシもありますので、どうしても力のコントロールが難しい方は使ってみてもよいでしょう。
ハミガキ粉を選びましょう。
ハミガキ粉には様々な効果をうたったものがあります。
その中でも知覚過敏用のものを使うようにしましょう。
ホワイトニング用と書いているものは硬い研磨剤が含まれていることが多く、歯の表面が削れてしまい、知覚過敏を強めてしまうことがあります。
ナイトガード・マウスピースを使いましょう。
歯並びが原因で知覚過敏症を生じている場合は、歯にできるだけ過剰な力がかからないようにすることが大切です。
日中であれば食いしばらないように、歯と歯が当たらないように意識しましょう。
もっとも強い力がかかりやすいのが就寝時に無意識でしてしまっている食いしばりや歯ぎしりです。
これは力を歯並び全体に分散できるようにマウスピースを使うのがおすすめです。(市販品のマウスピースをご自身で調整して使うこともできますが、かみ合わせの正しい調整が非常の難しく、かえって症状が強くなることがありますので、歯科医院で製作するのが望ましいです。)
酸性の食品を常食しない
特に就寝前に酸性のものを飲んでいると、寝ている間はほとんど唾液が出ませんので、一晩中口の中が酸性のままになってしまい歯が溶け続けることになります。
酸性飲料を飲んだら水でうがいをするように心がけましょう。
治療方法~歯科医院編~
シミ止めの薬/しみている部位のコーティング
シミ止めの薬を4回ほど塗ることで多くの知覚過敏は良くなります。
何度も通院することが難しい方は、歯を樹脂でコーティングすることで症状を抑えることもできます。
歯の耐酸性を高める
高濃度のフッ素を歯の表面に塗ることで、歯の成分の一部をフッ素に置き換え、酸に溶かされにくくします。
虫歯に対しても予防が効果が期待できます。
マウスピース(ナイトガード)
就寝時の食いしばりや歯ぎしりをやめることは非常に難しいです。
歯ぎしりなどが歯に悪いのは、一部の歯に過剰な力がかかるためです。
そこでマウスピースを寝ているときだけ装着することで、歯並び全体で咬み合うようにし、特定の歯に力が集中することを防ぎます。
レーザー治療
重度の知覚過敏症に対しては連続波のNd:YAGレーザーを用いることで症状の緩解を図ります。
約三週間にわたり週一回のペースでレーザーを当てることで約85%の方に除痛効果が見られる効果の高い治療方法です。