新型コロナウイルス(COVID-19)とビタミンDの関係
新型コロナウイルス(COVID-19)がさらなる猛威を振るい、今までになく過酷な夏が到来しています。
COVID-19が世界に広まり半年以上の時が流れ、多くの様々な研究がなされ、それらが少しずつ花を咲かせてきています。その研究結果の一つに、人間の免疫に大きくかかわるビタミンDとの関係を示しているものがありますので、その報告の一部を抜粋してお伝えしていきます。
♦ビタミンDの働き
代表的なビタミンDの働きは、「腸管からのCa 吸収の促進」「骨形成の促進」ですが、そのほかにも「生体に侵入した病原体を排除するマクロファージや樹状細胞のサポート」を行うことがわかっています。
♦血中ビタミンDとCOVID-19の罹患率
欧州20か国のビタミンDの血中レベルとCOVID-19の罹患率を調べた研究を見てみましょう。
このグラフのようにビタミンD濃度が低いと、COVID-19の罹患率が高くなるという、負の相関関係がみられます。
(Petre Cristian Ilie et al., Aging Clin Exp Res.2020 Jul; 32(7):1195-1198.)※Aging Clin Exp Res (2020) Jul;32(7) P1196 を参考に作成
♦血中ビタミンDとCOVID-19感染患者の症状(サウスイースタン・フィリピン大学:査読なし)
COVID-19による症状を「軽度」「中等度」「重症」「最重症」の四つに分類し、血中ビタミンDレベルの相関を調べてある。結果、血中ビタミンDレベルが低いグループほど、重症者の割合が高くなっていた。また、ビタミンDレベルが高いほど軽度が多く重症が少ないことがわかった。
〔Mark M. Alipio,Vitamin D supplementation could possibly improve clinical outcomes of patients infected with Coronavirus-2019 (COVID2019), April 9, 2020〕参考
♦血中ビタミンDとCOVID-19死亡率
COVID-19感染者の血清25(OH)D(ビタミンD)レベルを正常(>30ng/ml)、不十分(21-29ng/ml)、欠乏(<20ng/ml)に分類した。それに基づき、それぞれの死亡率を調べたところ以下の数値であった。
欠乏→死亡者98.9% 不十分→死亡者87.8% 正常→死亡者4.1%
このことから、血中ビタミンDレベルが30ng/mlを下回ると死亡率が急激に増加することが分かった。
Prabowo Raharusuna et al., Patterns of COVID-19 Mortality and VitaminD:An Indonesian Study, April 26,2020)
※Patterns of COVID-19 Mortality and Vitamin D: An Indonesian Studyを参考に作成
【参考】ナチュラルメディシンデータベース【6】,小林正,化学と生物
Vol.30,No.6,(1992)360-367,門脇則光,CytometryResearch 25(1):7-12(2015)
以上のようにCOVID-19と血中ビタミンDの濃度による研究結果が報告されています。
ただ、勘違いしに様に気を付けてほしいことですが、「何かをしていれば大丈夫!」と何かを妄信することは危険です。これらの研究は確かにビタミンDはCOVID-19に有効に見えます。が、そもそもビタミンDをしっかり摂取できている人の多くは、健康的な食生活を行えている健康的な人である可能性が高いということです。
様々なうわさや、報告が今後も市井を飛び交うようになるでしょうが、しっかりとその真偽を自分で一度立ち止まって考えるようにしましょう。それこそが、自分を、周囲の人を守るためにとても重要なことです。
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