摂食嚥下治療
摂食嚥下障害とは
「ご飯を食べる」実に当たり前のことであり、人生の歓びの1つでもあります。
もしも普通に「ご飯を食べる」ことができなくなったらどうでしょう。
それは、想像することも難しいくらい辛いのではないでしょうか。
人はご飯を食べるときに
- 食品を認知する
- 食品を口に運ぶ
- 噛み潰し食塊を作る
- 飲み込む
これらの動作を行っています。
摂食嚥下障碍とは、これらの動作の中に問題を生じ、普通に食事がしにくい、できなくなることです。年齢と共に筋力が低下してきたり、筋肉の動きが悪くなる、感覚が鈍くなる、神経反射がうまく働かない。様々な理由が原因で発生します。症状が悪化した後にリハビリテーションをおこなっても、改善するまでに非常に時間がかかるか、改善が難しいケースもあります。できるだけ早期に問題を発見し対応することが、一生自分でご飯を食べる歓びを持ち続けることにつながります。
こんな症状はありませんか
「汁物を飲むとむせやすい」
「食事に時間がかかるようになった」
「誤嚥性肺炎になったことがある」
「薬が飲み込みにくい」
「硬めの食品を無意識的に避けている」
摂食嚥下治療とは
ご飯を食べるときの①~④の動作のどこに問題があるかを調べていきます。
- 食品を認知する
- 食品を口に運ぶ
- 噛み潰し食塊を作る
- 飲み込む
歯科医院に来られた方では主に③④を対応させていただくことが多くあります。
訪問診療の場では食事風景を見させていただいていると、①以前に食の好みであったり、食べる時間などを替えるだけでしっかり食べラるようになる方もおられます。
ただ、入れ歯や咬み合わせを見るだけで無く、食事全体を診察する、それが摂食嚥下治療です。
治療の流れ
摂食嚥下治療における評価の流れは患者様の個別治療計画を考えるのに不可欠です。
初期評価は、スクリーニング検査からスタートし、食事風景の診査を経て、誤嚥リスクの有無や食事介助の必要性を把握します。
丁寧な聴取と観察に基づくこの段階は、治療の方向性を決定し、適切なリハビリテーションプログラムの構築に繋がります。
患者様一人ひとりの状態に応じたアプローチで、摂食嚥下の質の向上を目指します。
スクリーニング検査
摂食嚥下障害の早期発見にはスクリーニング検査が重要です。
この検査で嚥下能力を評価し、摂食障害の有無やその程度を判定します。
簡単な質問や観察、実際に食事を取る様子を見ることで実施されます。
早期に問題を発見することで適切なリハビリテーションへと繋げられます。
嚥下内視鏡検査・食事風景の診査
嚥下機能の評価手法として嚥下内視鏡検査を行っています。
これは、内視鏡機器を使用して嚥下過程を観察するもので、喉の異常を直接見て診断できる数少ない方法です。
当院で用いる内視鏡は直径が4mm程と細く、かつ口からではなく、鼻から通すので気持ち悪さを訴える方はほとんどおられません。
一方、食事風景の診査は患者様が実際に食事をする状況を観察することで、日常生活における嚥下機能の実態を把握します。
かかりつけ医や介助者と協議・計画の提案
摂食嚥下リハビリテーションをできるだけ安全に進めていくために、かかりつけ医との協議を行っています。
また、どれだけ効果の高いリハビリテーションがあっても、周囲の方々のお力添えなしに実現することはできませんので、ご家族様や介助者様に無理な負担のないリハビリテーション・治療方法を検討します。
摂食嚥下リハビリテーション・食事指導
摂食嚥下リハビリテーション
弱っている筋力を鍛えるための体操、狭まった筋肉の可動範囲を広げるための体操をすることで食事をするための体作りをしていきます。
食事指導
リハビリテーションで機能の改善を図ると同時に、、食品の形状や食べ方を提案、補助食品を活用して量を調整するなどして、患者様の「食べる」を支えていきます。