再生療法
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、その名の通り歯を支えている歯周組織(歯肉・セメント質・歯根膜・歯槽骨)を再生させる治療方法です。
この治療を行うことで、ご自身の歯を長く温存できる可能性があります。
ただ、歯周病全てに適用できるわけでは無く、一部の歯周病にのみ適用されます。
骨の無くなり方によっては適応できない場合もあるため、術前に歯科用CTを撮影し、骨の形態を確認します。
この骨の残っている形に合わせて使用する薬を検討していきます。
当院で使用している再生療法の治療薬
リグロス
リグロスは、成長因子の作用により歯周病で破壊された歯周組織の周囲にある細胞を増やし、さらに血 管を作って細胞に栄養を送り込みます。
これらの作用により歯槽骨などの歯周組織が再生されます。
サイトランス グラニュール
世界初の「炭酸アパタイト」を主成分とする、国内初の「インプラント適用」が認められた顆粒状の骨補填材です。
主成分の炭酸アパタイトは、生体骨の無機成分を模倣した完全化学合成品であり、生物由来原料からの感染リスクがありません。
サイトランス エラシールド
GBR適応の"吸収性"メンブレンとして国内で初めて薬事承認を取得したメンブレンです。
この膜を用いることで骨が大きくなくなっている部分にも再生を促すことができるようになります。
生体吸収性をもつので、再手術で取り除く必要が無く、何度も手術を受ける負担がありません。
歯周組織再生療法の注意事項
歯周組織再生療法は非常に繊細な治療です。喫煙をされている方は、処置後の歯茎の治りが非常に悪く、かえって悪化することもありますので、原則禁煙できていなければ処置ができません。
また、そもそもの歯周病の原因である歯みがきが残念ながら上手にできない方も、かえって悪化することがあるので処置ができません。
ですが、「歯周病を治したい!」という思いがあれば何度でも歯みがき指導をさせていただき、キレイに磨けるようになっていただけますのでご安心下さい。
歯周病予防、再発防止
手術により一旦は歯周病がキレイに治ったとしても、また汚れがたまってしまうと歯周病はすぐに再発してしましいます。
そもそも歯周病になぜなったのか、「歯みがきの問題」「食生活の問題」「かみ合わせの問題」様々な要因が考えられます。
ただ治療して終わりでは無く、再発しないように原因を改める必要があります。
当院では、定期的なメインテナンスを行うことで、問題が生じる前の予兆の発見に努めています。
2度と大がかりな手術を受けずにすむようにご自身での生活週間の改善と、プロフェッショナルケアを受けましょう。
親知らずの移植(自家歯牙移植)
歯が虫歯や歯周病、折れてしまったなど、何らかの理由で失ってしまった場合、ほとんどはブリッジ、入れ歯、インプラントで「失った部分を補う歯」を入れることになります。
そんなとき、親知らずがあれば失われた歯の替わりをしてもらえる可能性があります。
親知らずの移植のメリット・デメリット
何らかの理由で歯が失われた場合、それを補う治療方法は主に4つです。
歯を失ったときの治療方法
- ブリッジ
- 入れ歯
- インプラント
- 移植
ブリッジ
失われた歯の両隣を土台にして、橋渡しのように人工の歯をかぶせる治療です。
メリット
- 固定式のため着脱しないですむ。
- 歯本来の大きさに近いので違和感が少ない。
デメリット
- 両隣の歯を大きく削る必要がある
- 支えにしている歯が、過剰負担で弱ってくる
入れ歯
失われた歯の両隣に金具をかけて歯を入れる治療です。
メリット
- 両隣の歯を削る量が少ない。
デメリット
- 食事毎に着脱して洗う必要がある
- 噛み心地が悪い
- 支えにしている歯が、過剰負担で弱ってくる
インプラント
失われた歯のあった骨にインプラントを埋入し、歯を入れる治療です。
メリット
- 両隣の歯を削らない。
- 噛み心地が天然の歯に近い
- 両隣の歯に過剰な負担がかからない
デメリット
- 定期的なメインテナンスが必須
- 手術が必要
- 健康保険が適用されない
移植
メリット
- 噛み心地が自然。
- 両隣の歯に過剰な負担がかからない
- 両隣の歯を削らない
- 条件を満たせば健康保険が適用される
デメリット
- インプラントより技術的に難しい
- 移植するのに適した歯が必要
- 移植する先の骨の厚みが必要
- ご高齢の方の場合、成功率が下がる可能性がある。
移植治療の流れ
STEP1 診査・検査
歯の移植が可能かどうかの検査、写真撮影、X線撮影を行い、検査結果に基づきカウンセリングします。
STEP2 移植当日(60~90分程)
部分麻酔にて処置を行います。
- 移植歯の脱臼
- 移植する場所の準備(保存不可能な歯の抜歯、骨の形成、歯肉の形成)
- 移植歯の抜歯
- 移植歯の挿入
- 移植歯の固定・縫合
STEP3 術後
- 術後1週間:抜糸
- 術後2.3週間:移植歯の神経の治療
- 術後1.2ヶ月:仮歯の装着
- 術後3ヶ月後:最終的なかぶせ物を装着
親知らずの移植の症例
再植
再植とは
歯を一度抜歯してから必要な治療を行い、その後歯を元の位置に戻す治療法です。根尖病変や根管治療が困難な歯に対して適用されることが多く、歯の保存を目的としています。
再植の適用
根管治療が困難な場合
通常、根管治療は歯の内部から行われますが、内部からのアプローチが不可能な場合に、意図的再植が行われることがあります。この治療では、歯を一度抜いて、根管の先端の病変を除去し、根管充填材という薬剤で歯根を封鎖します。その後、歯を元の位置に戻すことで、治療を完了させます。
再植のメリット・デメリット
メリット
歯を残せるかもしれない
通常の根管治療で歯が治らない場合は、多くの場合が抜歯になります。当院では歯根端切除術などを用いることで可及的に歯を残せるように努めていますが、それでも抜歯せざるを得ないことがあります。再植は最後の砦として、歯を残せる可能性を生み出します。
デメリット
治療してもうまくいかないことがある
各論文のデータによって成功率は変わってきますが、処置後5年で歯が使えている可能性は約70%ほどとされています。
喫煙者では45%ほどとさらに低下するので、喫煙される方は慎重に考えていただく必要があります。
再植の流れ
-
術前審査・診断
歯がなぜ悪くなっているのか、再植が可能な歯の形態をしているのか等を審査します。 -
抜歯
局所麻酔をかけたのちに、歯に不要なダメージを与えないよう抜歯します。 -
歯根単切除術+逆根管充填
抜歯した歯の感染の原因となっている部分を切除し、薬を詰めていきます。 -
再植・固定
抜歯した部分を洗浄し、処置のできた歯を戻します。戻した歯は抜けにように糸などで固定します。 -
かぶせ物を装着
術後2~3か月様子を見て問題がなければかぶせ物を装着します。